「ファッション=洋服ではない」 帽子の専門学院と出会い人生が変わった、福岡発オールハンドメイドの帽子デザイナー

「ファッション=洋服ではない」 帽子の専門学院と出会い人生が変わった、福岡発オールハンドメイドの帽子デザイナー
帽子ブランド「daep」のデザイナー、國廣志保さん

これからの季節、ファッションアイテムの1つとして注目される帽子。福岡のアトリエから全国へ向けて、1人1人と向き合う帽子づくりをしている女性がいます。個性的で遊び心のあるデザインが魅力のブランドdaep(ダッピ)のデザイナー、國廣志保さんです。

ファッション=洋服という概念を取っ払った「帽子」との出会い

オレンジ
オレンジ

小学生の頃から思い描いていた将来の夢はファッションデザイナー。高校卒業後の進路では、ファッションの専門学校とアートを専攻できる短期大学への進学を検討しました。悩んだ挙句決めたのは、アートを専攻できる短期大学でグラフィックデザインを学ぶ道でした。ところが入学して数か月で、違和感が芽生えます。

「当時Macが出始めた時代で、グラフィックデザインはほとんどが平面デザインの勉強でした。どっかで平面より立体に魅力を感じるようになってきて、やっぱり(アートじゃなくて)ファッションの専門学校へ行くべきだったのかなと思うようになりました」

そんなある日、何気なく手に取った地元の情報誌に掲載されていた1つのコーナーが、その後の彼女の人生を一変させます。

「ほんとに小さなコーナーだったんですけど、オートクチュールの帽子の学校があると知って、すぐ『これだ!』とピンときてしまって。ずっとファッション=洋服としか考えてなかったのに、もう帽子のことしか考えられなくなってしまったんですよね」

そして短期大学卒業後、ジョリス製帽専門学院(現 田中重子製帽専門学院)にてオートクチュールの帽子製作を学びました。

「子どものころから普通に帽子はかぶっていたのですが、特に好きってわけでもなかったんです。でも、この時ピンと来たのはやっぱり“出会い”ですよね。それから20年以上たった今も、ずっと帽子にハマっています」

レース
レース

最初は、華やかなものやファッション性の高いものからのとっかかりだったそうですが、いろいろ帽子について学んでいくうちに、帽子に対しての考え方も変わってきたといいます。

「帽子って“見た目がかわいいって感じても、かぶってみたらイメージが違った”みたいなことはたくさんあって。人によって頭のサイズとか形とか顔の輪郭とか違うから似合う帽子も変わってくるんですよね。そういう帽子の面白さとか奥深さにどんどんはまっていきました」

コピーかぶり1
コピーかぶり1

daep=脱皮 ブランド名に込めた思い

1999年に独自のブランドdaep(ダッピ)で、帽子デザイナーとして開業した國廣さん。ダッピという名前に込めた思いがあります。

「帽子って女性にとっては、ヘアスタイルを変えるようなものだし、帽子をかぶったときの顔映りは、メイクを変えるように印象がかわるものだと思います。帽子をかぶることで、脱皮して、新しい自分に出会ってほしいという思いをこめています」

アートとのコラボ1
アートとのコラボ1

また、ブランドロゴもあえて読みにくいデザインにしました。「ブランドの名前が独り歩きしないように敢えてそうしました。お客様には、実際に手に取ってかぶってもらい、気に入ったものを購入してもらいたい」

daep
daep

同時に自身も、デザイナーとして脱皮をしていきたいと話す國廣さん。そこには、帽子デザイナーとしてのプライドとも思えるようなプロ意識が感じられます。

1人1人に向き合い、寄り添う帽子をつくる

「見た目だけがかわいくてもダメで、帽子はかぶらなきゃ意味がないですよね。帽子はかぶってなんぼ。お客様が持っている個性や、サイズ感があわさっての“かわいい”がベストなんです」

帽子の飾り…ルなものが
帽子の飾り…ルなものが

ダッピの帽子には、飾りがついたものも多いのが特徴。飾り1つとっても、かぶる人によって位置を調整したり、大きさを変えたりと、その人に合ったデザインとサイズでオーダーメイドの形をとっています。すべて手縫いとミシンのオールハンドメイドで年間800個ほどの帽子を製作。デザインだけでなく、コーディネートのアドバイス、アフターフォローまでを1人で行っています。

手縫いで作業
手縫いで作業

「お客様には長くかぶっていただきたいので、ライフスタイルの変化に寄り添って帽子のデザインの提案をしています。結婚して、出産して……となるとデザインも変わってきますから、それも含めてご提案していきたい。今かわいいだけでなく、その先も見据えた提案ができれば帽子デザイナーとしても嬉しいことです」

黒リボン
黒リボン

國廣さんはこれからも帽子のデザインを通して、かぶる人の気持ちに寄り添った“その人に一番似合う”帽子を作り続けていくことでしょう。

IMG_8604
IMG_8604

國廣さんは5月18日まで、高松三越(香川県高松市)でフェアを開催しています。期間中は國廣さんによるアドバイスやサイズオーダーも受け付けています。

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