発見! 杉谷の見どころ
神元さんに、杉谷地区の見どころ(ほんの一部)を案内してもらいました。まずは滑岩(なめらいわ)渓流。
鴨方の文人、西山拙斎の石文が川の中にあります。かつては雑木・雑草が茂っていて見通しが悪かったそうですが、杉谷里山づくりの会が伐採を行いました。鯉が泳いでおり、一休みできるベンチも。憩いの場となっています。
そこから少し北へ歩き、杉谷池の方へ向かうと、「天空への階段」が!
フォトジェニックな風景が注目されており、SNSで見て訪れる人もいます。池の点検用に元々あった階段を「天空への階段」と名付け、階段までの急な斜面に踏石を設置しのぼりやすくしました。
「天空への階段」を登りきると、すがすがしい杉谷池が広がります。無風のときは、水鏡の杉谷富士が見られます。
神元さんは杉谷池の管理も行っており、「とても気持ちのいい場所だから、里山を楽しむときに寄ってほしいという思いで整備を進めた」と話します。
次は、約2km離れた軍神社へ。
杉山城の守護を目的に南北朝時代1351年に創建されたと伝えられています。ご祭神は武甕槌神(たけみかづちのかみ)と経津主命(ふつぬしのみこと)。どちらも勝負ごとの神様です。そのためでしょうか、神社の瓦の化粧飾りには、牛若丸、金太郎といった昔話の主人公の姿が。
浦島太郎もいました。
この瓦の化粧飾り、里山歩きのイベントに参加した歴史好きな方から「珍しい神社ですね」と教えてもらい、案内板を作ることにしたのだとか。
地元の人にとっては当たり前になっていることも、実はかけがえのない地域の宝。町外の方との交流が生まれることで、里山の魅力がさらに輝きます。神元さんは「里山づくりは見えなかった魅力を見えるようにしていく作業でもある」と話します。里山の整備を通し、登山者とともに地域の魅力の掘り起こしをしているといえそうです。
軍神社の東側の登山道入り口には、マップとノートが設置されています。ノートには登山に訪れた人たちの手書きのメッセージがありました。
「杉山城の存在を知って来ました。地域の方々の整備のおかげで安全に楽しむことができました。また来ます!」、「地域の人たちで守っているというところにとても惹かれます」。神元さんも、ひとつひとつのメッセージに返事を書いています。
これから気候がよくなり、登山者が増える季節。地域ぐるみで登山者とともに取り組む、里山づくり。暮らす人も訪れる人も、それぞれに杉谷の魅力を見つけていくことでしょう。