手描きのイラストと文字がぎっしり!安芸津満喫探訪MAP
広島県東広島市安芸津町は約9,000人が暮らす、牡蠣とじゃがいもが特産の港町です。まわりは標高400~500mの山々が三方を囲み、南には穏やかな瀬戸内海が広がっています。
そんな風光明媚なまち、安芸津町を楽しく巡れる「安芸津満喫探訪MAP」が誕生しました。サイズはB3(51.5cm×36.4cm)で、折りたたむと持ち運びやすい手のひらサイズになります。大きな紙面には手描きのイラストと文字がぎっしり!
観光スポット、お店の情報、島の名前の由来などが細かく書かれていて、読みだすとどんどん引きこまれていきます。
作製者は、2020年9月に東広島市安芸津町の地域おこし協力隊に着任した村上由貴さん。自分の視点でまちの魅力を取材し、イラストも文章もすべて手掛け、2021年2月に発行しました。
地域おこし協力隊は、人口減が進む地方で地域外の人材を受け入れ、地域協力活動を行ってもらいながら地域力の維持・強化を図っていく、移住推進の制度です。村上さんは東広島市の隣の竹原市出身で、安芸津町に来る前は東京で暮らしていました。これまで情報誌の編集や、会社の広報を担当し、「ヒト・モノ・コト」を発信してきた村上さん。今度は安芸津町の魅力を発信中です。
村上さんがマップを作ろうと決めたのは2020年10月。「引っ越してきたばかりで安芸津のことを全然知らなかったので、まずは安芸津で暮らす人たちの話を聞きたい、仲良くなりたい、という思いでスタートしました」ときっかけを教えてくれました。
発案から取材、作製、発行までおよそ4か月。寒い季節、自転車で朝から夜まで走ることもあったのだとか。「お話を聞かせてください」と自分からコミュニケーションをとりながら、しっかり聞き込みすることにこだわりました。
インターネットで検索しても出てこない情報がたくさん詰まった、安芸津満喫探訪MAP。安芸津町のことをまったく知らなかった村上さんが、魅力をひとつひとつ見つけていった過程が手に取るようにわかります。
マップを手にまち歩き!町の皆さんの反応は?
マップは、東広島市役所安芸津支所と、東広島市役所本庁北館の市民協働センターに置いてあるほか、マップの掲載店にも置いてあるところがあります。
2021年3月22日、村上さんに安芸津町を案内してもらいました。
まずはJR安芸津駅前にある三津商店街を歩きます。細い路地にお店が並んでいます。
レンガ造りがレトロな喫茶店「オアシス」は、レンガの倉庫だった建物です。かつて安芸津町では、赤土を原料としたレンガ造りが盛んでした。
マップの中にももちろん登場します。探してみてくださいね。イラストとそっくりです。
中に入ってみると、スタッフの方が。「きょうはどうしたん」と村上さんをよく知っているようです。「きょうはマップを見ながら安芸津を巡っているんです」と話すと、「このマップすごいよね、こんな細かく、よう書くよ~。最近、うちには外から来る女性のお客さんもいて、『近くにこんな場所があるんですね』って言ってマップを持って帰ってるよ」と嬉しい話が聞けました。
そのあと、もうすぐ見頃を迎える桜の名所「正福寺山公園」の話で盛り上がりました。
「この間、竹の伐採があったみたい」
「きょうはぼんぼり付けの日みたいですよ、あとで行ってきます!」
まちの人たちと親しくお話する様子は、マップづくりを通して地域に出て活動してきた証のように感じました。
マップから生まれるコミュニケーション
続いて、直火式ロースターで煎る自家焙煎コーヒーが人気の「安芸津歳實コーヒー」へ。この日は定休日でしたが、店内を覗かせてもらうと、なんと、マップが壁に飾ってあるではないですか!
B3サイズの額縁を特注し、飾ってくれているそうです。
どこに行ってもその場でマップを広げると、安芸津トークに花が咲きます。
「私は三津地区で暮らしているけど、大田地区出身でね。大田の大豆のことも描いてくれとったね~」
「こんなところまで行ったん?!」
「うちの店が描かれてないって思ったら、ここに描いてくれとったね!探したんよ~」
マップから生まれるコミュニケーションこそ、村上さんがつくりたかったもの。「マップにたくさんの情報を入れ込むことで、会話のきっかけが生まれます。『字が小さくて読めないじゃないか~』でもいいんです(笑)。このマップをきっかけに会話が生まれるようなものにしたかったんです」と話してくれました。
安芸津満喫探訪MAPはとても好評で、増刷を心待ちにしているお店の方がたくさんいるそうです。