“キャンプの手法を取り入れた大学生活”が学びを変える 非日常的なシチュエーションでの“先取り学習”が生んだもの

“キャンプの手法を取り入れた大学生活”が学びを変える 非日常的なシチュエーションでの“先取り学習”が生んだもの
自分たちが手がけたマイボトルを手に微笑むCAMP×USのメンバー

大学のキャンパスにキャンプという「手法」を注入し、教室に留まらず広大な敷地全体を学びと創造の場にしようとする取り組みが、兵庫県三田市で進められています。その舞台になったのは、関西学院大学 神戸三田キャンパス(以下、KSC)。

娯楽施設に乏しいロケーションのキャンパスを、ただ授業を受けて帰るだけの場所から脱却させ、豊かな自然環境を活かした「Camping Campus(キャンピングキャンパス)」に生まれ変わらせる構想には、KSCに通う学生たちも主体的に関わっています。

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活動の一環として始められたのが、アウトドア用品メーカー・スノーピークとのマイボトルの共同開発です。その目的は、KSCで消費される年間27万本ものペットボトルを、約10万本削減するというもの。学内に張られたテントで、学生とスノーピークの社員が寝食をともにしながら議論を重ねるなど、ミッションの達成に向けてはさまざまな努力が積み上げられてきました。

商品開発に携わったのは、数十人にもおよぶ有志の学生グループ・CAMP×US(キャンプアス)。社会に飛び出す前の段階で「働く」という行為の実像や仕事観を「予習」しています。今回、リモート形式の取材に応じてもらえた5人のメンバーに、活動にかける思いや今後の展望を聞きました。

“陸の孤島”を逆手に取って、愛着を持てるキャンパスに

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Camping Campusを象徴するアイテムであるテントがKSCの敷地内に現れたのは、2019年5月末のことでした。唐突な出来事に接した際の印象を、総合政策学部2年の二栢紫穂さんはこう振り返ります。

「(テントが)急に張られたので謎やったんですけど、そこで先生含めて話し合ってる人たちがいる。気になってうろちょろして、『何してるんですか』って聞いたのが(CAMP×USに)参加したきっかけだったので」

総合政策学部と理工学部(※)の2学部が同居しながら、お互いの接触の機会はごく限られていたKSC。テント自体の存在感もさることながら、非日常的な空間が考えや視点の異なる学生同士の出会いの契機になっていることに感銘を受けたといいます。

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それもそのはず、テントの設置にあたっては学生グループと事務室の間で、学部間交流を活発化することで大学生活を充実させるための議論が繰り広げられていたのです。その中で運営の方向性を決定づけたのが、ある女子学生からの「これだけ自然があるんだから、キャンプをすれば学生のふれあいが生まれるのでは」という声でした。

当初は試験的に学舎内に設けられていたテントですが、次第に屋外への設置や宿泊を望む意見が。先例のないチャレンジだけに、新たな価値創造の足掛かりになるとの見立てもあって学長の心まで動かし、ついには特例的にKSCでのキャンプが許可されました。その後、実際に行われたキャンプの場で、学生グループはCAMP×USを名乗ることになります。

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一方、並行して進められていたのが、大学とスノーピークとが包括連携協定を結ぼうという動き。水面下で話題になっていたマイボトル開発に、学生のアイデアを取り込むことで両者の見解が一致し、郊外型キャンパスならではのプロジェクトが走り始めました。

※2021年4月に理学部、工学部、生命環境学部、建築学部に再編

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