日本で出産も…コロナ禍で両親と会えず
ベトナムでは、約半年の産前産後休みをとった後、ほとんどの女性は職場復帰をします。同居する夫の親か、近くに住む妻の親、親族、近隣の人々が出産時や子育ての手伝いやアドバイスをし、互いに助け合いながら、みんなで子どもたちを育てていくそうです。
2人の間に娘のリンちゃんが産まれたのは2019年11月。初めての出産ということもあり、周囲の助けがある母国での出産をした方がいいのではないかと考えていたディップさん。しかし、ズンさんは日本での出産を決意します。
「どこで出産するかで、ケンカもしました。海外だし、近くに助けてくれる家族はいないし、大丈夫かなとすごく不安でした」
出産当初は、ベトナムからズンさんのお母さんが出産と子育ての手伝いに来てくれる予定でした。しかし、新型コロナウィルスが流行。両親の来日も、3人そろっての帰国も難しくなり、娘を両親に会わせることもできていません。
「子どもが産まれてすぐは、あまり外に出られないし、コロナで人に会えないので寂しかった。日本語もあまり話さなくなったから、少し忘れちゃった」とズンさん。コロナが落ち着いたら、いろんな人に会ったり、早く自由に出かけたりしたいと思いを募らせています。
「子どもが産まれる前は、不安になることがありました。でも、たくさんの人がいろいろ手伝ってくれて、うれしかったです」
みんなにありがとうと言いたい
家での会話はベトナム語が基本です。しかし、簡単な日本語や英語で娘のリンちゃんに話しかけることもあります。
「これからは、子どもと一緒にいろいろなイベントなどにも参加したいです。もっとたくさんの人と交流したいです。それから、もし子どもが保育園に行くことになったら、友達ができると嬉しいです。子どもは日本語を話せないから、先生が話していることが分からずに泣いちゃうかな…。でも、子どもだから、きっとすぐ慣れるかな!」
「会社の人や地域の人はあいさつをしたり、優しく声をかけてくれたりします。子どもが産まれて、たくさん書類を書く時、周りの人が丁寧に教えてくれました。みんなに、ありがとうと言いたいです。言葉以外にもコミュニケーションをとる方法はたくさんあると思います。だから、これからも、いろいろな方法でコミュニケーションをしっかりとって、人間関係づくりを大切にしていきたいです」
そこには、人とのつながりを大切に、故郷ベトナムから遠く離れた日本で親子3人たくましく、前向きに生活をする姿がありました。