「石の島」北木島の石を使って、アクセサリーを作る女性たちがいます。
初めて耳にしたとき、「石を使ったアクセサリー? ガツンとした重みのある男らしいアクセサリーなのかな」と思いましたが、実際は繊細でキラキラと輝くアクセサリーでした。
ブランド名は「Char∗M(チャーム)」。ひとつひとつデザインが異なり、どれも個性的。
「Char∗M(チャーム)」は2020年4月にデビューしました。笠岡市番町にある洋服・雑貨店「MAMAN(ママン)」にて、11月29日(日)に冬シーズンの新作がお披露目されました。
店先にはイヤリング・ピアスを中心に、ヘアゴム・ネックレス・ネクタイピンなど約40点の作品が並びました。
北木石でアクセサリーを制作する2人の女性
北木島は広島県との県境・岡山県笠岡市の瀬戸内海に浮かぶ笠岡諸島のひとつ。大小31の島の中で、最も大きな島が北木島です。
人気お笑いコンビ「千鳥」大悟さんの生まれ故郷として注目を集めるほか、2019年7月には「知ってる!? 悠久の時が流れる石の島~海を越え、日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~」として日本遺産に認定され、話題になっています。
北木島で採れる花崗岩「北木石」は輝くような白さが特徴で、その品質の良さから大阪城再築など歴史的建造物や墓石に使われてきました。最盛期の昭和32年には島内に127もの丁場(石を切り出す採石場)があったといいます。
そんな北木石を使ってアクセサリーを作っているのが、「MAMAN」の店長・井本恵梨さんと、アクセサリー作家の三宅由希子さんです。
井本さんの父は北木島出身。井本さん自身も、年に一度は家族で北木島を訪れると言います。
「北木島の石を知っている人でも墓石のイメージが強いと思う」と井本さん。
若者に向けて明るいイメージで北木石を発信しようと、ハンドメイドのアクセサリーづくりが始まりました。
三宅さんは、笠岡市の隣町・浅口市寄島で、カキなどの貝殻を砕きアクセサリーを制作する活動「malin.(マリン)」に2017年から取り組んでいます。
井本さんと出会い、2019年12月ごろから北木石を使った作品を作ることにチャレンジし始めました。
北木石を使ったアクセサリー「Char∗M(チャーム)」の作り方
北木石は、井本さんの知人で元石材業の方から譲り受けた廃材を使っています。
石を細かく砕いてレジン液で固め、それぞれ装飾をしてアクセサリーに仕上げていきます。
デザインは一点ごとに違い、「コスモス畑」「カブトガニ」など笠岡市のシンボルをイメージしたものも。
北木石を使っているという驚きと、それぞれ違ったデザインを選ぶ楽しさがあります。
こちらはコスモス畑に沈む夕日をモチーフに、井本さんが制作しました。
笠岡市の緑道公園をウォーキングしているときに、海に沈む夕日を見てひらめいたデザインなのだそうです。
2020年4月にデビューした「Char∗M(チャーム)」。周りの方の反応はどうだったのでしょう。
「笠岡在住の方を中心に、驚き・喜びの声をたくさんいただきました。特に北木石を提供してくれている知人が『悩みの種だった廃材が、素敵な作品になって嬉しい』と喜んでくれています」と教えてくれました。
11月29日(日)にお披露目された冬シーズンの新作は、春に制作した涼しげなイメージから一新。
パールやゴールドカラーのパーツを使い、冬に身につけたくなるあたたかみのあるデザインが多いです。
「MAMAN」は地域の子どもたちがよく訪れるお店です。子どもたちが身に着けられそうなポップなデザインのアクセサリーもありました。
「Char∗M(チャーム)」は今後、「石を使ったコンセプトを対面で丁寧に伝えていきたい」と、「MAMAN」主催のイベントや、そのほかのイベント出店限定で販売される予定です。