11月21日(土)、岡山県浅口市寄島町で写真展が開催されました。
タイトルは「三年目の二人展」。浅口市在住の写真家、大岸勇人(おおぎしはやと)さんと大武智惠(おおぶともえ)さんの作品が展示されました。
「二人展」は「浅口の自然と人を愛する二人が浅口の魅力を写真で伝える」をテーマに2018年から毎年開催されており、今年で3回目です。
会場の「ふれあい交流館サンパレア」は、瀬戸内海が眺められるロケーションです。
ガラス張りの窓際には、大岸さんが撮影した浅口市内の風景写真がずらり。寄島の海の風景や、阿部山の切り枝栽培地など、約30枚が展示されていました。
中央には、大武さんが撮影したポートレート写真が並んでいました。子育てのあるあるネタをまとめた「こそだてかるた」もありました。
親子で訪れた方、カメラが趣味の年配の方など、幅広い年齢層が足を運んでいました。アットホームで和やかな雰囲気の中、写真を眺めて涙ぐむ方もいました。
大岸勇人さん 透析に通いながらも撮り続ける理由
大岸さんは浅口市鴨方町在住の写真家です。「三年目の二人展」で展示した青佐鼻海岸と阿部山は、昔から好きな場所でした。
青佐鼻海岸には2014年から足繁く通うようになりました。年間300日以上、撮影したこともあります。
きっかけは、後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)という指定難病にかかったことでした。
車で遠出することが難しくなったかわりに、毎朝15分程度の運転と、青佐鼻海岸での撮影が日課になりました。
現在、腎臓の機能が低下し、透析のため週3日の病院通いを続けている大岸さん。早朝に撮影をしてから病院に向かうこともあります。
撮り続けるパワーの源について聞くと
「病院に通ったり、体に痛みを感じることが増えると、どうしても悪い方向に考えてしまう。写真を撮ることで、前向きに考える力をもらっている。生きようと思える」と教えてくれました。
長時間露光で星の動きを撮影した写真や、朝焼けに染まる空など、ひとつとして同じ写真はありません。「雲行きで朝の風景は全く違う表情を見せる。毎日来ないと巡り合えない絶景がある」と大岸さんは言います。
まだ見ぬ絶景と出会う期待を胸に撮影を続ける大岸さんの作品は、私たちにも元気と感動を与えてくれます。
大武智惠さん 今だからこそぬくもりを伝えたい
大岸さんが「ひらめいて、瞬間を切り取るのが本当に上手」と話す大武さんは、七五三や入園入学など、子どもや家族を撮影するフォトグラファーです。
誰もが不安なく子育てができる居場所づくりの支援活動もしています。
今回の大武さんの作品テーマは「ノーディスタンス」。
「新型コロナウイルスのニュースが飛び交った2020年、あふれる情報や殺伐とした空気に疲労した人も多いと思います。『ソーシャルディスタンス』により、ぬくもりを体感する機会が減りました。その分、人の体温が伝わるような作品を展示しました。優しい世界になるように、ぬくもり伝われ!という願いを込めています」と大武さん。
「たのむからすこしだけでもねむらせて…」「いいのとれた?さつえいあとのおおごしょかん」など、子育てのあるあるネタを写真と文章で表現した「こそだてかるた」も毎年好評です。
「クスッと笑いながら子育ての大変さを共有できればと作りました。子育てをしているときは我が子と向き合うのに必死。でも、素敵な『母』の表情をしているから安心してねと、写真を撮る私ならお伝えできると思うんです」と、優しいまなざしの理由を話してくれました。
大岸さんと大武さんが「今、伝えたいこと」を写真で表現した「三年目の二人展」の作品の一部が、浅口市の金光図書館で、2021年1月5日から2021年6月13日まで展示される予定です。