古民家を改修 商品は全てアレルギー対応
11月9日、岡山市北区御津に江戸時代後期に建てられた古民家を改修した菓子工房・ショップ・イートインスペース「omoや545」がオープンします。
取材に訪れた日はご近所さん限定のお披露目会で、オープンを心待ちにしていた人たちがたくさん訪れていました。
商品は、岡山県産の素材を使用したお菓子、総菜、ピザ、地元で採れたお米のおにぎり、ドリンクなどで、全てアレルゲンとなる特定原材料7品目(小麦、卵、乳、えび、かに、そば、落花生)不使用です。
建物は、江戸時代後期に建てられた古い屋敷を改修しました。かつては母屋を中心に、離れ、複数の蔵、女中さんや手代さんが住む長屋などの建物が白い塀に囲まれた、「庄屋屋敷」だったそうです。
2階は現在も改修中で、来春に宿泊・長期滞在スペースとしてオープンします。
地域に「特産品」と「お試し暮らし」を
店を手がけるのは、薬膳師で料理研究家の仲田早苗さん。
兵庫県赤穂市出身で、大学進学と同時に上京し、ブライダルやIT業界を経て薬膳、料理研究家の道へ。東日本大震災や出産を機に、田舎暮らしに興味があった夫と共に移住を検討し、2018年に岡山市に移り住みました。
地域の人の誘いでイベントに参加し、積極的に手伝いをする中で、20年続く青空市場の運営を引き継ぐまでに。そんな中見つけた課題が、仲田さんが住む御津の五城地区には「特産品がない」ことと「お試し暮らしができるところがない」ことでした。観光資源が乏しく、特産品もないので地域が知られる機会があまりありません。また、仲田さん夫妻のように、地方で暮らすことに興味がある世帯がお試しで住むことができる場所があれば、多くの人にこの地域のよさを知ってもらえるのでは、と考えました。そして2019年、岡山市の「地域の未来づくり推進事業」に申請し、助成金で建物の改修を始めました。
アレルギー対応のお菓子で子どもたちの夢を叶える
アレルギー対応食品の誕生は、町の特産品の検討を進める中で、吉備中央町の製粉会社との会話がきっかけとなりました。
「幼稚園から、アレルギーのある子でも食べられるように、米粉でお菓子がつくれないかという相談を受けたが、うちの工場では小麦粉を扱っているので難しい」という話を聞き、「これから新しく工房を作るので、対応できる!」とひらめいたそうです。
その後、岡山市の私立幼稚園と一緒に商品を開発し、工房で作ったアレルギー対応のケーキを、お誕生会用に提供しました。「みんなと一緒に特別なお菓子を食べたい」というアレルギーのある子どもたちの夢を叶えることにもつながりました。
食・旅・遊のよりどころ
1階では今後、英会話やストレッチ、親子クッキングの講座などの開催も検討しています。また、2階の宿泊・長期滞在スペースは1フロア貸し切りにする予定で、「お試し暮らしをしたい家族が、仕事をしながら滞在するのにぴったりです」と仲田さんは話します。
コンセプトは、「食・旅・遊のよりどころ」。
「かつてハレの日に地域の人々が集まり、憩いの場となっていたこの場所で、新しい仲間と一緒に、この地域ならではの仕事を作りながら暮らしていければ」という仲田さんの思いが込められています。
「omoや545」は11月9日にオープンします