「生まれつき全身にアザがある」という症状を抱える、現在20歳のSUZUさん。毎日「アザさえなければ…」と思い悩み、人に見られるのが嫌でアザを隠して生きてきました。しかし、アザと向き合うようになってから考えが変わり「一度きりの人生、このアザと楽しく生きよう」と思うようになったのです。SUZUさんはアザに対する思いや治療、お付き合いしている彼にすべてを打ち明けたときのことなどをSNSで発信しています。
今回は、SUZUさんがアザと向き合えるようになったことや、それをSNSで発信していく思いを聞きました。
生まれつき全身にアザが…
SUZUさんは3歳のころにアザが見つかり、始めは小さかったアザがどんどん増えていきました。小学生になるとアザがあることが嫌になり、6年生のころにはアザを隠すように。「自分はいつかいじめられるのでは…結婚もできないのでは…」と、とてもネガティブな感情だったといいます。
アザがあることで、いろいろな人に見られること、悪気なくヨゴレと思われて汚いなどと言われること、また虐待と勘違いされたり、火事にあったと思われたりもしたと話します。中学生になったときに「いじめられるのでは…」と気にしていましたが、幸い素敵な友達に恵まれていじめられることはありませんでした。
しかし毎日「アザさえなければ…」と思うSUZUさん。鏡を見てひとりで落ち込むこともあり、成長するにつれてアザについて家族や友達にも相談しづらくなっていったのです。
しかし「そんな自分を変えたい」と思いを抱くようになります。そんなとき、SUZUさんに彼氏ができました。
SUZUさんは14歳のときに、医師から「色素失調症」と診断されており「あなたの子どもは二分の一の確率で流産、残りの二分の一の確率で同じ病気で生まれてくる」と言われていました。それらも含めて、病気のことをすべて彼に打ち明けたのです。
付き合って1ヶ月ほどたったとき、デートで岩盤浴に行くことになりました。しかし、岩盤浴ということは彼にすっぴんをさらけ出すことになるのです。そこでかなり悩んだSUZUさんでしたが「今、アザをさらけ出さなかったら、いつ見せるの?」と考え、すっぴんで会うことに…。
夕食を一緒に食べましたが、彼はその日、アザについて触れることはありませんでした。目の前で夕飯を食べたのに、アザに気づかないわけがありません。SUZUさんはアザについて打ち明けようとしますが、そのときにはきっかけを逃していました。
「あのアザは何なんだろう…」ときっと彼は頭がいっぱいなんだと考えたSUZUさんは、その日のうちにどうしてもアザについて話したいという強い思いから電話をすることに。そして病気のことをすべて打ち明けたのです。そこには「大好きだからこそ、私の病気のすべてを知ってもらってから選択してほしい」という思いがありました。彼は「そんなんで嫌いになるわけがない、今までは一人で抱えてきたかもしれないけど、これからは俺も一緒に抱えるし、支える」と言ってくれたのです。
「こんな私を受け入れてくれる人はいないと思っていましたが、彼は違いました。病気のことを知った後でも、私を手放さず愛をくれました」と、この日はSUZUさんが人生で一番泣いた日になりました。
さらにそんな彼との出会いから「アザがあっても恋愛していい、自信を持って生きていい、アザを気にしてやりたいことをやらない人生はダメだ」と気づかされたといいます。
そこからのSUZUさんは、スピーチコンテストでアザについて話したり、SNSでアザについて打ち明けたりしました。隠すことをやめて「私はこういう人間だ」と周りに知ってもらうように行動をするようになったのです。
今では「SNSを見てくださっている人や友達は、みんな私が生まれつきアザがあることを理解してくれていてとても生きやすいです」と、現在は「アザも含めて私!と心から思えます」と語ってくれました。
アザは逆に素晴らしい人たちに出会わせてくれた
彼氏にアザがあることを打ち明けるまで「アザがあることは私にとってマイナスにしかならない、誰も愛してくれない」と思い込んでいたSUZUさん。しかし、そんなことはありませんでした。
「アザは逆に素晴らしい人たちに出会わせてくれます」と話します。アザがあっても気にせず接してくれる友達、病気があっても好きでいてくれる彼氏、心から私を好きでいてくれるそんな人に出会わせてくれたのは「アザがあるからなのでは?」と今では思うといいます。
アザがあることで、SUZUさんはコンプレックスがある辛さなどがとても理解できるといいます。そこで「あなたのコンプレックスは、本当にあなたにとってコンプレックスでマイナスの存在なのか?ということを考えるきっかけになりたい。逆にチャームポイントなんだよってことをもっと多くの人に伝えたい!」という思いを持っています。
14歳のときに色素失調症と診断されたSUZUさんは、子どもがほとんどの確率で病気や流産すると言われ、そんな現実をこれ以上知りたくなくて逃げていました。しかし彼と出会い、彼との今後の人生を考えたとき、逃げていてはダメだと気づかされ、勇気を出して6年後の20歳のときに精密な検査を受けることにしたのです。
その結果、子どもには悪影響のない「汗孔活化症」と診断されました。
「そのときは嬉しくて仕方なかったです。ずっと抱えていた、未来を想像しては悲しくなる気持ちが一気に晴れました」
汗孔活化症は「あまり詳しくはお医者さんもわかっていない病気ですが、皮膚がんになりやすいという研究書もあります」といい、症状としては痒みがあり、なるべく日光に当たってはいけないと言われているそうです。
汗孔活化症と診断されてからレーザー治療をしてくれる先生にも出会え、SUZUさんは治療を開始しました。彼と出会い、アザから逃げることをやめて向き合ったSUZUさんは大きく成長し「これからは逃げずに向き合う」そう決めた出来事でもありました。
たった一度の人生だからこそ
周りの友達や身近な人に、アザがあることについて話せていなかったというSUZUさん。
「なぜあの子はアザがあるの?」と思われるのが嫌で嫌で仕方なくて、それなら「病気でアザがある」ってみんなに知ってほしかったことからまず、SNSでアザについて打ち明けることにします。すると、思った以上に多くの人や、同じような悩みを抱えている人に見てもらえていたことに気がつきます。
そこで「アザがあっても人生は楽しいんだ!!」をコンセプトに発信していくことにしました。
SNSで発信していく中で「あなたのアザはあなたのアクセサリー」「アニメのキャラクターみたいでかっこいいね」「アザがあってもなくてもあなたは魅力的」 など、アザに対してポジティブに捉えてくれるコメント欄には涙が止まらなかったと話します。時には心無い言葉もあったといいますが、それ以上に愛にあふれる言葉が多かったため、発信を続けられていると語ります。
SUZUさんのアザのように、目に見える症状で悩んでいる方も多くいるでしょう。そのような方たちにSUZUさんは伝えたいことがあります。
「コンプレックスをコンプレックスで終わらせることは簡単なことだけど、たった一度の人生、最高に自分を愛し最高に楽しい人生にしませんか?コンプレックスがあるなら、コンプレックスなんてどうでもよくなるくらい自分の強みを磨きませんか?コンプレックスばかりに目を向けてしまっているかもしれませんが、今のままでもあなたは個性があってとっても魅力的な人です。あなたにとってのコンプレックスが、誰かにとっては魅力的な部分かもしれないってことは忘れないでください」
SUZUさんの今後の目標は、アザをチャームポイントにフィットネスモデルをすること。そして、アザがあっても何でもできることを証明したいといいます。
他には、フィットネスを通して、同じようにコンプレックスを持つ人たちに自信と幸せがあふれるようにサポートをすることです。
SUZUさんは、もともと自分の骨格が好きだったため筋トレをし、アザなんか気にならないくらい美しいスタイルを目指しました。そして、ボディメイク大会に参加し、人前にも立ったのです。
これまでは「人に見られる=アザ」だと思っていたSUZUさんでしたが、自分の強みを磨くことで「みんなはアザではなく、自分のスタイルを見てくれているのかな…」とポジティブに変換できるようになりました。
自分のコンプレックス以上に目立つものを手にいれたことで、コンプレックスが気にならなくなったのです。自分の強みはどのようなことでもいいと語ります。コンプレックス以上のチャームポイントを手にいれたSUZUさんは、生き生きと輝いていました。
SUZUさんのこうした姿は、見た目にコンプレックスを抱えている人たちへの希望、そして大きな力となるのではないでしょうか。