全身をピンクで纏う60代の女性「今変わらなければ一生後悔すると思った」その理由に迫る

全身をピンクで纏う60代の女性「今変わらなければ一生後悔すると思った」その理由に迫る

ピンクカラーのヘアと、鮮やかなピンクの服を纏うスタイルが印象的のTAEKOさん。しかし、もともと全身灰色の地味なファッションでした。40歳でファッションの力に気づき起業、独自のファッション哲学がSNSでバズり、メディアにも注目されるようになったのです。

現在60代のTAEKOさん。年齢に縛られない生き方や働き方、ピンクコーデをする理由などについて話を聞きました。

灰色の服をすべて捨て、ピンクコーデに

幼少期からファッションに興味を持ち、ファッションデザイナーとしてメーカーに勤務していたTAEKOさん。
しかし、産後に育児ノイローゼに…。外出はスーパーや公園のみという生活が約10年続き、そのときは目立ちたくない理由から灰色の服ばかり着ていたといいます。

変わる前のTAEKOさん(@taeko_officalさんより提供)

「40歳のときに人生を変える転機が来たんです!」

それは「鏡ごしに見た自分の姿がお婆さんだった」ということからでした。
そこから「今変わらなければ一生後悔する」と灰色の服を全部捨て、明るい色の服を購入し、ヘアメイクも研究し、現在のTAEKOさんへと近づいていったのです。

変わった後のTAEKOさん(@taeko_officalさんより提供)

その後、TAEKOさんは全身ピンクコーデをするようになります。きっかけは、何気なく見ていたテレビから流れてきた戦争の映像。

「灰色の空、灰色の崖…なにひとつきれいな色がない。もし、銃器がピンク色だったら人に向ける気はおきるだろうか…もし、戦車がピンク色だったら戦場に行くだろうか…もし、迷彩服がピンクだったら戦えるのだろうか?」

そんな思いが浮かび、全身ピンクコーデで争いのない世界を目指す表現をするようになったといいます。

自身のファッションを変えたことで「ファッションは自分だけじゃなく周囲にもいい影響を与えることを知りました。みんなが笑顔になる、声をかけてくれる、世界共通のコミュニケーションアイテムになりました」と周囲の反応の変化に気づきます。

過去は地味主婦だったTAEKOさんがファッションで人生を変え、思考もポジティブに変わったことからメディアでも取り上げられるようになり、新聞記者のインタビューで「アラ還ファッショニスタ」という名前をつけてもらったといいます。

※アラ還…「アラウンド還暦」の略。 還暦前後の世代。
※ファッショニスタ…最先端のファッションを追い求める人。おしゃれに敏感な人。

40歳で起業するも…

TAEKOさんは40歳でアロマセラピストとして起業しますが、ビジネスを知らない普通の主婦の開業でした。そのため、いざ開業してもうまく行かず、家族と一緒に過ごす時間が少なくなったことや借金などで悩んだといいます。

アロマセラピストとして起業(@taeko_officalさんより提供)

そんなとき「何を着たらいいか教えてほしい」とお客様に言われたことがきっかけとなり、スタイリスト業を始めることに。

スタイリストとして活躍するTAEKOさん(@taeko_officalさんより提供)

そのときのことを「私がやりたいこと(アロマセラピスト)より私に求められること(ファッション)をやったほうがうまくいく。ビジネスってそうなんだと、人の悩み解決をやろうと思ってスタイリストになりました」と話します。

そして現在は、スタイリスト、モデル、インフルエンサーとして活躍しています。

応援してくれる人がたくさんいる

TAEKOさんがSNSでファッションについて発信するようになったのは2018年。Instagramでその日のコーデを興味本位で投稿を始めました。

そしてコロナ禍のとき、すべてショート動画の投稿に切り替えると、一気に10000フォロワーまで伸びたのです。そのときの気持ちを「日に日に伸びていく数字が嬉しかったです」と振り返ります。

また、SNSを投稿するにあたり「リアルな友達は少ないですが、SNSの向こう側には応援してくれる人がたくさんいるので元気をもらえています」と感謝しています。

閉経しても女は女(@taeko_officalさんより提供)

特に反響の大きかった投稿は、閉経に関するもので再生数は360万超え。
「女性たちの、体に対する悩みを感じました。若い人の発信は多いけれど、シニア世代になればかなり減る情報をリアルにお伝えしていきたいです」とTAEKOさんは語ります。

ファッションが与えてくれる力

40歳のときに「自分らしい人生に変える」と決め、これまで着ていた灰色の服を全部捨てて模索し始めて20年が経ちました。さまざまな経験からTAEKOさんが思う、ファッションが与えてくれる力を聞きました。

「どんな人生にしたいのか?そこで何を着るかで人生は大きく変わります。3歩先の未来にいる自分をイメージして『どんな服を着てどこで誰と何をしている?』を具体的にすることです。そうすると、いずれその通りになっています。要は逆算で『未来の姿の自分を今作る』ことで、現実が動くのです」

今後、SNSやメディアで「毎日がなんかつまらない…そう思う人へ刺激と好奇心を揺さぶるような発信をしていきたいです。私より若い人へは年齢を重ねることの楽しさを、 同年代の人には苦労を重ねているから『もういいんだよー』という解放と自由を発信していきたいですね」と語ります。

「ファッションはおしゃれだけじゃなくて人生も変える」SNSでのTAEKOさん投稿から、この言葉の意味が伝わってきます。年齢を重ねても好きな色の服を着て、笑顔で生きる、そんな姿に力をもらった方も多いでしょう。

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