幼い子どもと出かけた帰り道、子どもが疲れてしまって抱っこをしなくてはいけないという経験をした人は多いのではないでしょうか。荷物を持ちながら子どもを抱っこするのは大変ですよね。
今回紹介するのは「親子遠足の帰り道で助けてもらったこと」についてのエピソードです。
イラスト:チッチ
親子遠足の帰り道
アキコ(仮名)さんが、3歳の娘のユキ(仮名)ちゃんと幼稚園で親子遠足に行ったときの帰り道のことです。
現地集合、現地解散だったため、移動手段は電車でした。遠足はとても楽しく、めいっぱい遊んだユキちゃんは電車で眠ってしまいました。アキコさんもとても疲れていて、家まで帰るのも大変だったといいます。
最寄り駅に着き、ユキちゃんを抱きかかえて電車を降りたアキコさん。ユキちゃんは眠っているのでとても重く、2人分の荷物を持って抱っこすることは大変です。フラフラしながら、やっと駅の改札を通り出口まで出たところで、アキコさんは腰の痛みとユキちゃんの重さで動けなくなってしまいました。
そのとき近くのお店の人が、たくさんの荷物を持ってユキちゃんを抱っこしているアキコさんを見かけて手招きしていました。アキコさんは何だろうと思っていると「こっちまで来れる?ここに座って!」とイスを出してくれたのです。
お店の人は「お母さん、大変だね!お子さん寝ちゃったの?しんどいでしょ、ここで休んで行ってね!」と言ってくれました。アキコさんが感謝を伝えると「時間気にしないでいいからね、おうちまでまだあるからゆっくりしてね」と優しい言葉をかけてくれたのだそうです。そのおかげで、少し座って休んでいる間にユキちゃんは目を覚まし、歩いて帰ることができました。
アキコさんは「知らない方が、こちらの大変さに気づいてくれて声をかけて助けてくださったことが本当に嬉しかったです」と話します。
気にかけてくれる人のいる有難さ
このときの出来事について、アキコさんに話を聞きました。
ー助けてもらったとき、近くのお店の方に対してどう思いましたか?また、なんと伝えましたか?
パッと見かけただけで、さっと助けてくださってとても嬉しかったです。助けを押しつけるでもなく、とてもスマートで、そしてにこやかに話しかけてくださって、疲れていた私の気持ちもほぐれました。折りたたみのイスをサッと出して「こっちこっち」という感じで少し離れたところから声をかけてくださり、遠くにいたのに気づいてもらえたこともとても嬉しかったです。「ありがとうございます。ぐっすり眠ってしまって起きなくて…腰も痛くなっちゃったのでとても助かります」と伝えました。
ーお店の方とはその後、何か会話をしましたか?その際、どのような会話をしたのか教えてください。
娘が目を覚ましたので「起きたので歩いて帰れそうです。休ませていただきありがとうございました」と伝えて帰りました。
ー体力が限界のなかで子どもを抱きかかえなければいけないような状況において、子育てならではの大変さを感じることを教えてください。
ベビーカーを使うほど小さくもなく、でもまだ体力が続かない3歳くらいは大変だなと思います。電車でも立って乗せるのは不安ですし、ベビーカーは邪魔になるかなと気になるし、座らせる方が安心で安全ですが、子どもを座らせるのも周りからはどんな風に見えるのかなと気になります。今回は遠足だったので、ベビーカーは使えず、幸い席が空いていたので座らせました。眠ってしまったときも、抱っこして荷物を持ってを1人でこなすのは本当に大変でした。
ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
子どもは寝てしまうのは仕方ないので、なるべく荷物は少なくすることを心がけています。助けていただいたことで、私も人に優しい気持ちをもっていたいと思いました。
ーこの経験を誰かに話したことはありますか?
友達に話したところ、子どもが寝てしまったときの大変さはとても共感してくれました。そのタイミングで「ここで休んで」と声をかけてくれる人がいるのは嬉しいし、助けてくれた人はステキな人だねと言っていました。
ー子どもと一緒にいて困ったとき、周りにどういった対応をしてもらえると嬉しいと思いますか?
どうしたらいいのか分からないときは、優しく見守ってもらえたらこちらも焦らずにいられます。声をかけて、なにかできることがないか聞いてもらえたら嬉しいです。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
今は子育てがしにくいという言葉をよく耳にしますが、意外と助けてくれたり気にかけてくださったりする方は多い気がしています。困っていそうなときに気になっても声をかけにくい、どうしたらいいのかわからないという方も多いのかなと思います。子育てをしている親御さんは、あまり自分を責めずに過ごせたらいいなと思います。
自分が困っていても、なかなか周りに助けを求められないという人は多いかもしれません。しかし、なかには助けたいと思っている人もいると思うと、心強くなりますね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。