子育てをしていると、つい子どもに強い言葉をかけてしまったり話をじっくりと聞けなかったりということもあります。余裕がないときは、誰にでもあることでしょう。
保育士歴10年で子育て講師をしている、でんちゃんファミリー(@denchan_family_)さんは、3人のお子さんのお父さんでもあります。
Instagramでは、3人の子どもたちの様子や子育てなどについて発信しています。今回投稿したのは「弟くんに対するお姉ちゃんの対応」です。
それは、保育園から家に帰る途中のことでした。3歳の弟くんは自転車から降りて道草を始めてしまいました。そんな家に帰りたがらない弟くんに対して、8歳のお姉ちゃんは”どうして帰りたくないのか”理由を探し始めます。
弟くんが川の様子を気にすれば一緒に川をのぞき、しゃがみ込めば一緒にしゃがんで話を聞こうとします。
お姉ちゃんが弟くんの気持ちに寄り添ってくれたからか、弟くんは納得して自転車に乗ることができました。
ついつい「早く帰らなくちゃ」と思ってしまいがちですが、こんなふうに弟くんの気持ちに寄り添って対応できるお姉ちゃんは素敵ですね。
こちらの動画を見た人たちからは「優しい」「素敵なお姉ちゃん」などのコメントが寄せられました。
お姉ちゃんの対応
子どもたちの様子などについて、でんちゃんファミリーさんに話を聞きました。
ーお姉ちゃんの優しい寄り添いがとても素敵な対応でした。普段からお姉ちゃんはこのように弟くんたちと接しているのでしょうか?
はい、普段からこのように対応してくれます。どんなに忙しいときでも、弟たちに目線を合わせてしっかりと話を聞いてあげていて、とても優しいお姉ちゃんです。
ーこのときのお姉ちゃんの対応を見てどう思われましたか?
大切なものを子どもたちから学ばせてもらっていると感じます。僕たち大人は、とても早い世界で生きているように感じます。早く家に帰らなければ、早くご飯を作らなければ、早く自転車に乗せなければ…と。それも大切なことだとは思います。でも、本当に大切なのは、嫌がる子どもに耳を傾け、気持ちを受け止めてあげることなのだと、お姉ちゃんの対応から教えてもらいました。
ー「れいれいだけのお席だよ」など、弟くんのきもちを動かすような声かけが出てくるのがすごいと感じました。子育て講師をしているお父さんの影響もあるのでしょうか?
どこまで影響しているかはわかりませんが、お姉ちゃんが小さい頃から、僕も言葉を意識するようにしていました。
脅す言葉や否定的な言葉、怒鳴ることは極力しないように育児はしてきましたが「れいれいだけのお席だよ」はお姉ちゃんのなかから生まれた言葉なので、お姉ちゃんのアイデアの賜物だと思っています。
どうしても寄り添えないときは…
ーどうしても時間がないときなど、このように寄り添えないときもあるかと思います。そのときはどのように声掛けをしていますか?
僕の場合は、寄り添えないときであっても、ほんの少しでも話は聞くようにしていますが、それを他のパパやママがする必要はないと思っています。
僕は、親が余裕がないときに、無理に寄り添わなくてもいいと思っています。
忙しいときに「寄り添わなければいけない」「共感するべき」といった情報が、逆に育児を頑張っている方へのストレスになっては元も子もありません。
なので、無理矢理になっても、怒鳴ってしまってもいいと思っています。むしろ、そうしなければいけないほど、ご自分は頑張っていると知ってもらいたいです。
優しいお姉ちゃん
ーこの投稿にはお姉ちゃんの対応へたくさんのコメントが寄せられていますがどう思われましたか?
みなさま、お姉ちゃんに対してとても素敵なコメントをしてくださって感謝しております。
頂いたコメントは、お姉ちゃんにも読んであげています。
また「勉強になります」「素敵なお姉ちゃん」と言ってくださるので、その視点をもってコメントをくださる方も素敵な方なんだと感じます。
ーこのように優しいお姉ちゃんですが、姉弟喧嘩をすることはあるのでしょうか?その場合、どのように仲直りをしているのでしょうか?
もちろんあります。その場合は、僕は口を出さずに見守っているのですが、自然に仲直りして遊んでいることが多いです。
大人はつい子どもたちに「ごめんね」「いいよ」という言葉を期待しますが、僕はその言葉も特に必要ではないかなと思っています。仲直りの形は、喧嘩の数だけあると思っているので、基本的に子どもたちに委ねています。
ー姉弟のやりとりをみて、親として心に残った出来事や勉強になったことなどはありましたか?
毎日のようにあります。小学校に行く直前で、お姉ちゃんが積み木を出しっぱなしにしていて、片付けないことがありました。
でもよく見たら、ぐずった弟をあやしていてくれていたんです。
僕はそんなお姉ちゃんの姿を見て、お姉ちゃんが積み木を片付けることよりも、弟に寄り添ってくれていることのほうが何倍も価値のあるものだと感じました。
「片付けなさい」という言葉が「ありがとう」に変わった瞬間でした。
ー他にもSNSで子育てについて多く発信されていますが、今後はどのようなことを同じ子育て世代の方に伝えていきたいですか?
子育てを頑張る自分に価値を感じてもらいたいです。
子育てをしていると、子どもが言うことを聞かずについ怒ってしまうこともあるでしょう。
自信がなく、自分に価値を感じられなくなってしまうこともあるでしょう。
でも、命をかけて子どもを産み、子育てをしている時点で、親という存在は、とても価値があるということを知ってもらいたいです。
「◯◯するべき」に囚われず、親としてできていない自分よりも、できている自分のことを、自分で褒めてあげられるような発信をしていきたいと思っています。
子育てをしていると、つい「こうしなくてはいけない」という思いになってしまいがち。そんなときに、でんでんファミリーさんのような発信をしてもらえると、心が軽くなって気持ちにゆとりがうまれそうですね。