SE(システムエンジニア)や料理人などいくつかの職業を繰り返したのちに、もっとも自分にあった職業に辿り着いた青年がいる。埼玉県鴻巣市に住む、坂西諒也さん、29歳。現在、彼は4歳の猫2匹と一緒に暮らしている。
今の職場とは“運命の出会い”だった
坂西さんは、高校を卒業後に寿司チェーン店のがってん寿司に就職、のちに料理長に就任したが3年半後に退職。続いてシステムエンジニアとして働くものの9ヶ月で退社。次に広告代理店に勤務したものの、半年で退社。さらに、神楽坂にある料亭で料理人として1年勤務したのちに、実家が経営するコンビニエンスストアでスタッフとして働くこと2年。いずれも勤務年数が短かった。しかし、そんな彼に
転機が訪れる。コンビニの仕事もやめることが決まった頃のことだった。
彼にとっては、運命の出会いというべきか、お客として来店していた、現在勤務する保険代理店の社長と雑談しているうちに「うちの会社で働かないか」と声をかけられたという。これまで歩んできたフィールドとはまったく異なる保険業の世界。難しい業界で、自分に営業案内ができるのかな?と戸惑いを感じたそう。その後、会社説明会に参加し仕事に興味を持ったという。
「なんか面白そうだな、やってみようかな」
大きな責任は伴うが、いざというとき人の役に立てること、最後は感謝される職業であることが響いた。最終的にコンビニ時代、接客態度を評価してくれた社長から熱い要望が入社意識を後押ししてくれた。コンビニの仕事をやめたのち1ヶ月後に保険代理店に入社、営業職がスタートした。
会社は自動車、火災、傷害、旅行、ビジネス、生命保険などを扱う。社内はアットホームな雰囲気で風通しがよく、ファミリーのようなあたたかなスタッフに囲まれて毎日が楽しいと話す。
「僕にとって今の仕事は天職だと思います」そう話す坂西さんは入社して5年目を迎える。そもそも人と話すことが好きで学生時代から家業のコンビニ店でのアルバイトで父親から接客のいろはを教わり、引っ込み思案で人見知りの性格が大きく変わったという。人のお役にたてることがどれだけ有意義であるかを日々の仕事を通して実感。
さらに「保険セールスは人と話すこと、人のお役に立つことで、その人が保険を必要としているか否かをあぶりだし、一人一人に合う保険をお届けすることができます。また、保険などでわからなかったことをわかるように変えるお手伝いができることがやりがいでもあります」と“天職”に感じる理由を明かす。
担当した顧客は500人以上
彼が担当している顧客は500人以上にのぼる。日々のルーティンは車で出社して朝礼からはじまり、クライアントの元へ行き、昼食休憩。そのあと再びクライアントの所へ出向く。帰社してオフィスワークをすませ、夕方6時には退社する。1日の訪問件数は3件〜7件ほど。車で埼玉、東京など関東、さらに遠方では新潟のクライアントも。
「新規のお客様で、クライアントさまからのご紹介があり、契約のため車で伺いました。高速を使って片道3時間くらいです」と話す。地元のクライアントももちろん多いが、日々、新規客獲得のためアポイントも取る。坂西さんのなんでも話しやすい気さくな人柄、丁寧な説明やものごしのやわらかさ、真摯に話しを聞く姿勢など穏やかな性格がお客の心を掴んでいるのかもしれない。
転職をしてサラリー的に気になるところだが「前職と平均サラリーで比較したら、給料は1.5倍になりました。以前は仕事をしていても生活が厳しかったです」と話す。現在は安定した給料を得ながら休日はラーメン店巡りや料理をしたり、夜はバドミントンを楽しんだり、夏はサーフィンに、そして、日々まったりと2匹の猫たちと過ごしている。
「僕はこの仕事をこの先、やめるつもりはありません。会社に骨をうずめる覚悟で取り組んでいます。僕を招きいれてくれた社長に恩があり、恩返ししたいと思っているから。万が一、将来的に社長が現役を退いたときは、僕がその立ち位置に就て会社を守っていきたいと思っています。また、支店や提携先を含めたベスト保険グループも大きくしたいと思っています。僕の好きな言葉は、本気でやれば大抵のことができる。本気ですればなんでもおもしろい。本気でしていると誰かが助けてくれる」と熱く語る。
料理人などいくつかの職に関わり、転職を繰り返してきた坂西さんは人生の岐路で大きな出会いをし、生きる道筋を捉えた。現職を天職と語った彼は清々しく、堂々として自信に溢れていたのが印象的だった。彼のこれからの人生の章が楽しみになる。