つわりは人によって程度は異なるものの、起き上がれないくらいに辛いという人もいます。そんなときに、家事や上の子のお世話などがあると、さらに大変ですよね。
今回紹介するのは「つわりで辛い時期に言われた言葉」についてのエピソードです。
イラスト:23ca
第2子妊娠中、酷いつわりで…
ユズキ(仮名)さんが第2子を妊娠していたときのことです。
梅雨入りしてとても蒸し暑い6月。つわりがとても酷く何も喉を通らない状態だったユズキさん。
身体はどんどん弱り、体力がなくなっていることを感じていました。
それでも長女のユミ(仮名)ちゃんは当時2歳だったため、お世話を続けなければなりません。
お腹を空かせたユミちゃんにご飯を食べさせ、満腹になれば公園へ連れ出し遊ばせなければいけませんでした。
蒸し暑さと、絶え間なく続く吐き気、そして食べられなくなったことにより体力に限界が…。ユズキさんは身体を休めるためにソファやベッドで横になることが増えました。
それを毎日見ていたユミちゃんは、彼女なりにいつもと違う母の姿を理解していたのでしょう。
決してわがままは言わず、ユズキさんが休んで横になっているところに来ても何も言わずに見守ってくれていました。
毎日のように雨が降り続け、空気もどんよりしていたある日のことです。
ユミちゃんはそっとベランダの窓を開けて言いました。「お母さん、涼しくなった?」と。ユミちゃんは、2歳の小さな身体で大きな優しさをユズキさんに与えてくれたのです。
ユズキさんは、そんなユミちゃんの姿を見てずっと心配してくれていたのだと初めて気づきました。
寝込んでばかりだったユズキさんはその一言でとても元気をもらい、いつまで続くのか不安なつわりでしたが、ユミちゃんの優しさで身体が少し軽くなったように感じました。
このときの出来事について、ユズキさんに話を聞きました。
相手の心に寄り添う大切さ
ーユミちゃんの対応についてどう思いましたか?また、なんと伝えましたか?
頭をなでて「ありがとう」と言いました。母親の私がとても嬉しい気持ちになったことを、精一杯伝えました。
それと同時に私のことをずっと見ていてくれたのだと気づきました。どうすれば私が喜ぶか、どうすれば私が元気になるかを小さな娘なりに考えたのだろうと思います。
娘の気持ちに寄り添えていなかったことには反省の念がありました。
それまでは何もわからないだろうと思っていたのです。でも1番そばにいたので、表情や振る舞いを見て何かを感じたのでしょう。
私も子どもによって成長させてもらっているのだと感じました。
ーその後、この出来事についてユミちゃんに話をしましたか?
大きくなってから娘にその当時のことを話しました。そのときの気持ちを尋ねましたが、本人はよく覚えていないと答えました。
月日の流れでその場面は過ぎていってしまったのかもしれません。
ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
小さな子どもだからわからないだろう、言っても理解できないだろう、という思い込みやこちらの勝手な考えを変えました。
たとえ親子であっても、偉そうに決めつけたような言動は何も生まないのだと思います。
また、子どもから優しさを教わりました。
相手の心に寄り添うことの大切さをゼロから学んだ気持ちです。
相手の気持ちを読み取るのはとても難しいことですが、自分の体験から相手の心に寄り添うように努力しようと思いました。
長女は自分が遊んでもらえずに、本当はわがままも言いたかっただろうあのときに、それを抑えて私の様子を見て判断していたのだろうと思います。
小さな子どもができるのだから、大人の自分はもっと周囲に目を向けて、感じ取らなければならないと思っています。
ーこの経験を誰かに話したことはありますか?ある場合、どんな反応や返答がありましたか?
夫と自分の両親、同じく子育てをしていた妹に話すと「2歳の優しさに感動する」と言ってくれました。
他にも、長女の性格や日頃の様子をよく知っている人にも話すと「いつも落ち着いている性格から想像できるね」とも言われました。
ーこのような経験と同様、子育てをしていて大変な時はどんな時ですか?
子どもたちが小さかったときは、主人が出張や単身赴任が続いたので、ワンオペの時間が多かったです。
怖がりな私は、子どもが怪我をしたり体調を崩したりしたときにどう判断したらよいか不安になったので、それが大変でした。
症状は酷くないと思っていたのに受診したらお医者さんに「どうしてもっと早く連れて来なかったのか」と、怒られたこともあります。
自分があまり病気やケガをしないで育ったことで、よく食べてよく寝ていたら大丈夫と楽観的に思っているところがありました。
ー子どもと一緒にいて困ったとき、周りにどういった対応をしてもらえると嬉しいと思いますか?
その周囲の状況にもよりますが、危険な状態のときはすぐに助けていただけると本当にありがたいです。
たとえば混雑している電車の中で、やむを得ずベビーカーで乗車して降りなければならないときに、スペースを開けていただけて動ける状態にしてもらえたら嬉しいです。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
今回は我が子に助けてもらったエピソードでしたが、ご家庭によりそれぞれ妊娠中の過ごし方は違うと思います。
なんでも話せるママ友や自分の両親や親せきの存在は何より大きいと思います。
甘えてはいけない習慣がありますが、妊娠中のつわりの時期は本当に甘えさせてもらって、元気に回復したときに恩返しをするのが1番だと思います。
妊娠中や育児中、大変なことや辛いことなどもたくさんあります。そんなときに、相手の気持ちに寄り添って考えることが大切なのですね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。