小さな子どもとの外出は大変なことがたくさんあります。特に公共交通機関を利用したり、外食をしたりするときには、周りの人たちに気をつかってしまいますよね。
今回紹介するのは「混雑するバスの中で助けてもらったこと」についてのエピソードです。
イラスト:yoyoi
混雑するバスの中で
サナエ(仮名)さんが生後10ヶ月の赤ちゃんと出かけたときのことです。夕方、サナエさんは帰ろうとしてバスに乗りました。しかし、車内は2人席のところに荷物を置いている人が多く、座ることができず…。
サナエさんはその人たちに対して、なかなか「荷物をどけて席を譲ってもらえませんか?」という一言が言えずにいました。ベビーカーに赤ちゃんを乗せていたため、迷惑になるかもしれないと思ったからです。
座れそうになかったこともあり、通路が広いバスだったため、ベビーカーに赤ちゃんを乗せたまま座席の近くに置き、赤ちゃんをあやしていたサナエさん。そうしているうちに、赤ちゃんがぐずり出し、泣き出してしまいました。
大声で泣くのも周りの人に迷惑がかかると思ったサナエさんは、仕方なく片手で抱っこをしながら、もう片方の手でベビーカーを掴んでいました。
。グラグラ揺れる車内で、10キロ近い赤ちゃんを片手で抱っこし、ベビーカーも支えていたサナエさん。30分もこのまま乗り続けるのは本当に大変…と思っていたときでした。
近くに立っていた男性が、荷物を座席に置いている乗客に対し「荷物をどけてあげられませんか?こちらのお母さんに席をお譲りください」と声をかけてくれたのです。その後、サナエさんは赤ちゃんと一緒に席に座ることができました。
優しい人が近くに…
このときの出来事について、サナエさんに話を聞きました。
ー声をかけてくれた男性に対してどう思いましたか?また、なんと伝えましたか?
なかなか言い出せず困っていたことに気づいてくれた上で、私の代わりに周りの方へ声をかけてくれたことを本当に嬉しく感じました。また、困っているときだったので涙が出そうでした。周りの方に泣き声で迷惑がかかっているのではないかと心配して心細かったときに声をかけ、助けてくれる方が近くにいたことにとてもホッとしました。
ー男性とはその後何か会話をしましたか?その際、どのような会話をしたのか教えてください。
「ありがとうございます」と、心からの感謝を伝えました。「全然大丈夫ですよ、もっと早く気づいて声をかけられなくてすみません」と言ってくださりました。
この体験から、サナエさん自身も、周りで困っている人がいたら声をかけようと思ったそうです。また、この出来事をサナエさんがお母さんに話すと「いい人が近くにいてよかったね」と言われたとのこと。
ーこのような経験と同様、子育てをしていて大変な時はどんな時ですか?
1人で子どもを連れて出かけるというのはハードルが高いです。子どもが交通機関や大型施設などで泣いてしまったりぐずってしまったりしたときが大変です。子どもの機嫌もとらなくてはならないし、周りの方に迷惑をかけていないかという心配もあり、焦ってしまいます。抱っこと言われてもどうしても手が塞がっているときもあるし、食事中にもう外に出て遊びたいと言われてもまだ食べきっていないという状況など、どうしようもないときが大変です。
ー子どもと一緒にいて困ったとき、周りにどういった対応をしてもらえると嬉しいと思いますか?
声をかけてくれるのもありがたいですし、大泣きしている場合はうるさいかもしれませんが、気にせずそっとしておいてほしいです。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
世の中は、子育てをしている親に対して厳しいなと感じることも多いですが、優しい方も近くに必ずいてくれているので気負わずに生活してほしいです。子育てしているママが交通機関で優しくしてもらえる社会になればいいなと思います。
小さな子どもを連れて公共交通機関を利用するのは大変です。そんなときに周りの人が温かい雰囲気でいてくれれば、安心して利用できそうですね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。