認知症によりぐるぐる回りたがるワンちゃんのために… 飼い主が考案した“装置”に「素晴らしい」の声

認知症によりぐるぐる回りたがるワンちゃんのために… 飼い主が考案した“装置”に「素晴らしい」の声
グルグル回る祐くん(@sanbo666さんより提供)

ワンちゃんも認知症になることがあり、その症状は、鳴き続けたり同じところをぐるぐる回ったりなどさまざまです。症状の出方はワンちゃんによって異なりますが、介護が必要となることも。

元保護犬の祐(たす)くんとの日常をInstagram上に投稿しているさんぼ(@sanbo666)さんは、認知症の祐くんのためにある装置を作りました。

祐くんのための「ぐる活装置」

認知症によって、同じところをぐるぐると回りたがる祐くん。しかし、うまく回れなくなってストレスが溜まっていたとのこと。そんな祐くんのストレスを解消するために考えたのが「ぐる活装置」でした。

ぐる①
ぐる①

ぐる活装置を使った祐くんは、ぐるぐると回れるようになり、ストレスも軽減されたようです。

ぐる⑤
ぐる⑤

こちらの装置がInstagram上に投稿されると「愛を感じました」「天才」「素晴らしい」などのコメントが寄せられ話題になっています。

祐くんの病気

祐くんとぐる活装置について、さんぼさんに話を聞きました。

ー祐くんはどのような病気・疾患を抱えているのでしょうか?
疾患は、僧帽弁閉鎖不全症や慢性腎臓病、認知症など他にもいろいろな疾患があります。

ー病気が判明するまでにはどんな経緯がありましたか?
保護当時、心雑音があり、悪性腫瘍も摘出しました。他に隠れた疾患がないかと犬ドッグを受け、診断に至りました。

ー祐くんが病気であることで大変なことを教えてください。
毎日の皮下補液など、やることはたくさんありますが、1番は認知症になったことで、意思疎通が上手くいかず、彼を怒らせてしまうことです(笑)

ぐる活装置について

ー祐くんのどのような症状を改善するために「ぐる活装置」を作ったのですか?
動けないことからくるストレスを、少しでも解消させてあげたくて作りました。

ぐる③
ぐる③

ーぐる活装置を自作したとありますが、どのようにして完成させることができたのでしょうか?
元々足腰が弱いため、散歩のときも身体ごと上から吊るすように支えていました。そのうち、認知症特有のぐるぐる回る動きが出て、散歩のときにリードがねじれてしまうようになりました。
それを解消するために回転ハンガーを使ったのが始まりです。家の中でも吊るせるようにと、鴨居ハンガーなどを連結させ、完成に至りました。

ーぐる活装置を使う祐くんは以前と比べてどのような様子ですか?
歩けなくなってから昼夜問わず鳴き続け、ひどい癇癪を起こし、一時は鎮静剤を使うほどでした。
しかし、ぐる活装置に乗るようになってから、無駄吠えもなくなり、夜もぐっすり寝るようになりました。

ぐる活装置の注意点

ーぐる活装置についてどのような注意をするべきか教えてください。
装置に頼り過ぎないよう筋肉にある程度の負荷がかかるよう調整しました。
また、振動や重みでネジが緩み部品が脱落したりしたことから、初号機は約3ヶ月で壊れました。メンテナンスは欠かせません。
足先は擦れたり血流が滞らないように注意してます。装置を設置している建具の強度や、体重にも影響するので、まったく同じモノで真似するのは危険です。

ーぐる活装置についてSNSで発信することでどのような反響がありましたか?また、寄せられるコメントについてどのように感じましたか?
想像もしてなかったほどの反響に驚き、温かい言葉をたくさんいただき本当に嬉しかったです。
と同時に同じように悩んでいる人がたくさんいることに気づきました。
参考にしたいというお声もありましたが、あくまでも参考程度で、この動画をきっかけに『ぐる活ライフ』が安心安全に、より良いものになるよう我が子に合ったものを作ってほしいなと思います。

ぐる⑦
ぐる⑦

さんぼさんがこう話すように、ぐる活装置は、あくまでも祐くんに合わせて考えられたものなので、まったく同じ装置では危険な場合があります。参考にしたいという場合も、使われる環境やワンちゃんの大きさなどをよく考えて危険のないようにしてください。

元保護犬の祐くん

ー祐くんは元保護犬だとありますが、どのようにして出会い、引き取ろうと思われたのですか?
保護犬や迷い犬のサイトを見ていたときに保護団体『ちばわん』の募集欄の写真に一目惚れしました。
センターレポートの紹介文の中には「手厚くお世話しても看取りになると思う」という一文がありました。
5ヶ月後、譲渡会で初めて祐を抱いたとき、直感的に「この子は私が看取るんだ」とまだ決まってもいないのに確信したのを覚えています。
それが伝わったのか、抱いてる姿を見ていた預かりボランティアさんに見初められ託していただきました。

保護団体『ちばわん』では、現在も家族を待つワンちゃんや猫ちゃんがたくさんいます。祐くんの『実家』と呼んでいるという預かりボランティアの『チビスケんち』@chibisukehahaでは、Instagramでもその活動の様子を紹介しています。

ー病気になってしまったり、年老いてきた動物と関わるうえでどのような気持ちで向き合うことが大切だと思いますか?
老いは必ずくるもの。その姿に、ついつい動揺したり困惑したりしてしまうけど、自分以上に困惑して不安にかられているのは動物たちだと思います。その不安を取り除く努力をしています。

ー今後、SNSを通じてどのような人にどのようなことを発信していきたいですか?
介護は重く苦しいものじゃなく、尊くて愛おしくて、かけがえのない時間だということ。それをまだ知らない人に知ってほしいです。

残念なことですが、病気や老いを理由に動物を手放す人も少なくありません。動物の介護について発信されることで、動物の老いへの認識が変わっていくといいですね。

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