「メイク前後の顔が……違う!」
多くの女性にとってのあるある問題を逆手に取り、共感を呼ぶ動画の投稿で一躍人気YouTuberにのぼりつめたのが、歌手、タレント、プラスサイズモデルとして活動するSACHIさん。「白玉みたいよ」と語るすっぴんから、あっと驚く変貌を遂げる動画は、同世代の女性たちから熱烈な支持を集めています。
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笑っている顔がデフォルトと感じられるほど、屈託のない笑顔のSACHIさんは「幸せのハードが低いんです。だからわりかしいつも幸せ」と語ります。幼い頃は、朝起きて目が二重になっていたら幸せだった。今はコーヒーが美味しかったら幸せ。その実、とても苦労人らしいSACHIさんの、すっぴんのその奥について話を聞きました。
底抜けの明るさとメイク技術で人気に!
自身の素顔について「“ベイマックス”というキャラクターに似てるみたいで、『ベイマックス~!』っていいながらよその子どもに抱きつかれたこともあります」と笑います。
SACHIさんのYouTubeチャンネルで特に人気を集めるのが「メイクのbefore After動画」です。
自身で「モンゴル相撲の選手」「マシュマロマン」みたいというすっぴんから始まり、「コンプレックスが回避できている状態」と語るメイク後。コメント欄には『勇気づけられた』『最高』と称賛の声が寄せられます。自虐のようで、まったく卑屈ではない。ユーモラスなエンターテインメントに昇華できているのが、SACHIさんのメイクショーです。
SACHIさんのもうひとつの大きな魅力が「話術」です。動画内のさりげない雑談でもきらりと光る言葉のセンスは、国語教師だった過去をもつSACHIさんならでは。「(教師時代は)生徒に舐められていましたよ。よぉSACHI! みたいな」と笑います。
過去を乗り越えて
そんなSACHIさんにも、苦難の時期がありました。25歳で3歳年下の夫と結婚するも、死別。うつの経験、その後の大病の克服など、明るい姿からは想像もつかない過酷な経験をしています。
SACHIさんの生き方に共感した人々が、自身の生きづらさについてアドバイスを求めています。SNSに寄せられるコメントやダイレクトメッセージは、「メイク・ファッションの質問4割、お悩み相談系6割」だとか。動画内でも定期的に「質問コーナー」を設けて、ファンや視聴者のお悩み相談にも真摯に回答しています。
おしゃれ上手だった母
SACHIさんは、最愛の母を肺がんで亡くしています。お金をかけず、さりげない身づくろいを楽しむおしゃれ上手だったといいます。
「母はね、アイプチなんかない時代に、医療用テープみたいのを小さく切ってね、まぶたに貼って二重を作っていたんですよ! ある意味で最先端かもしれませんよね」
そんな母は、死期を悟り始めた頃、家族にある“お願い”をするように。その願いは、『死んだらすぐに入れ歯を入れて欲しい』でした。「入れ歯の入っていない顔はイヤだって。そんなこという? って笑ってしまった」とか。
亡くなる最後の晩には「いつもの母らしくない」出来事がいくつか起こりました。ゴルフに出かける父に「行かないで欲しい」というもの初めて。入れ歯を外さずに寝るのも初めて。そののち、最愛の父の胸に抱かれながら乙女のような表情を浮かべて亡くなったといいます。
キレイなまま死にたい。この覚悟について、「入れ歯のない顔が最期の顔になるってイヤですね。もうその顔から更新されないんですもんね。わかる気がする」と語るSACHIさん。
母の最後のお願いは一見するとユニークですが、美意識と人生の哲学が込められたお願いでした。最後まで自身の美意識を貫いた母の凛とした生き様は、SACHIさんの美意識の原点といえるかもしれません。
メイクのイマジネーションとクリエイティブの原点
SACHIさんの家庭は、クリスマスのプレゼントもなく、外食も旅行もほぼ行かなかったといいます。
「旅行に行く想像とかしてね、想像旅行。姉と一緒に『旅行に出ます。Tシャツは何枚もっていく』とかいって服の絵を描いたりしていた」
「みんながもっているバービーちゃんとかもないから、人形の絵を描いて、お洋服も紙を切り抜いて作っていたから、イマジネーション豊かでしたね。“イマジネーション家族”でした」とユーモアたっぷりに語るSACHIさん。
「ある意味で、クリエイティブでした。なんでも作っていましたから」と笑います。SACHIさんメイクのあっと驚く“創意工夫”はこの頃に培われたようです。
「今もね、メイクもこうやってみようか、あぁやってみようかって考える。その癖は確かにあの頃に鍛えられたのかもしれませんね」
SACHIさんの背骨になった過去ですが、当時は「同級生のことがうらやましかったですよ。やっぱり」。ふとしたときに覗くSACHIさんの素顔に、共感を覚えるファンが多いのも特徴です。
人気のコンテンツ「モーニング・ルーティン」でも現実は?
YouTubeで人気のコンテンツ『モーニング・ルーティン』ですが、SACHIさんの現実は「あんなものではない」と語ります。
「私のモーニングルーティンを観たい! って声が多いんです。でもね、本当のモーニング・ルーティンなんて、子どもにごはん食べさせて『学校gogogo!』なんてやってる。おしゃれにスムージー飲んだりしてませんよ」
それでも「観たい!」とリクエストが多いため、2022年、「平安時代の女性のモーニング・ルーティンってどんな感じだったんだろう」と思いつき、映画を制作することになったといいます。その名も『平安女子! 恋のM★R』。SACHIさんが監督・主演を務めます。
「映画は(SACHIさんの住んでいる)広島だけじゃなく、全国でできるだけ多く上映してもらえるように。そこはクラウドファンディングで視聴者さんやファンの方に協力いただき、みんなで叶えたいと思っています」
アクティブでクリエイティブ、カラフルで華やかな姿の影にほんのりビターなエピソード。爆笑必至のSACHIさんのモーニング・ルーティンを、ダイナミックなスクリーンで観られる日が待ち遠しいです。