子どもの運動・遊びとして欠かせないなわとびですが、思うように跳ぶことができず、苦手意識を持つ子も多いのが現実です。
今回は、大学時代にダブルダッチ世界大会優勝、10年以上講習会や幼稚園などでなわとびやダブルダッチをはじめとした全身スポーツを指導し続け、なわとびが「跳べない」多くの子を「跳べる」ようにしてきた天野陽介さんに、子どもがなわとびに楽しく取り組むためのコツを聞きました。
なわとびが跳べないのはなぜ?
できない子の多くは先入観として「私にはできない」と思っている子が多いですね。初めてやって跳べる子っていないですよ。なわとびをはじめて最初の10分で、「できないからやだ」「やらない」となってしまう子もいる。
子どもたちは小さい成功体験を積み重ねていかないとやる気にならないです。小学校では、なわとびをいきなりまわすことからはじめる。それではついていけない子もいます。いきなりまわすことは難しいことですよ。
「跳ばない」なわとび
1回も跳んだことがない、もしくは全く跳べない子に対しては、「跳ばない」なわとびを教えます。例えば「ピックアップ」という技があります。なわとびを片手で投げて、それを引っ張ってキャッチする技です。魚釣りゲームとして遊べるので、年少・年中の子には「魚釣りしよう!」と言って遊びはじめます。とれなかったら「魚を逃がした」ということにしていますよ。
なわとびを作ることからはじめることもあります。また、なわとびには「はじめかた」「おわりかた」があるので、それを教えることもあります。何よりなわとびを楽しいものとして認識できるといいですね。縄を持っている時間を少しでも長くできるといいです。
他にも、縄を前にやったり後ろにやったりというだけの練習から、つま先をあげて足と地面で縄を踏んで、かかとから縄をだしてまた元に。という練習もあります。あえてそこでも「跳ばない」です。縄って足にしっかりくるようにまわさないと、縄が地面についてはねてしまいますよね。つま先で踏んで、それからまわしていくと、その感覚がつきやすいです。
「跳ばない」なわとびを教えていると、どんどんとびたい欲がでてきます。「なわとびをとびたい!」「楽しみたい!」こんな気持ちを作ることが大事です。
どんな声かけをすればいい?
僕は、その子の良いところを言うようにしています。まわすことしかできなくても、「まわしたときの円はすごくきれいだ」と言います。いいところを言った後、課題を言う。子どもたちが「ほめられているな」と思って、なわとびの練習ができようにしています。
ただ、褒めるところを見つけるということを、日常生活でなかなかすることがないので、最初は難しいと思います。意識してやり続けていれば、子どもの反応が変わってくるので、今度は親の成功体験になります。そうすればやり続けられます。いつの間にか普通になっていますよ。このことは、なわとび以外でも応用できますよね。
「跳ぶ」よりも「楽しむ」
おうち時間が長いので、おうちにいるときに運動するにはなわとびは最適です。なわとびに年齢は関係ないので、親も子も関係なく一緒に成長できて、楽しめます。
僕自身もちゃんとなわとびに向き合ったのは30代になってからです。大人でも、もっとうまくなれるし。新しい発見もある。「跳ぶ」ことに重点をおくのではなく、「楽しむ」ことに重点をおいて一緒になわとびをしてみてください。