北海道・屈斜路湖の自然の移ろいを撮り続けて9年 宿を営み料理でも表現

北海道・屈斜路湖の自然の移ろいを撮り続けて9年 宿を営み料理でも表現
屈斜路原野ユースゲストハウスの前で、山本和之さんと愛機2台。

北海道の東・弟子屈町にある、日本最大のカルデラ湖・屈斜路湖(くっしゃろこ)。寒暖の差が激しいため、湖や森から揮発した水蒸気が霧となり、雲海が発生しやすい場所の1つです。外輪山からは雲海が広がる様子が一望でき、多くの訪問客が魅了されています。

屈斜路湖
屈斜路湖

弟子屈町に住む山本和之さんもその1人。2013年からほぼ毎日、屈斜路湖の写真を撮り続けています。特に雲海が発生しやすい6月から7月は早朝3時半頃に出発し、日の出の時間に合わせて写真を撮っています。

山本さんはカメラマンでもあり、屈斜路原野ユースゲストハウスのオーナー、そして調理師でもあります。多様な視点から屈斜路湖の自然に向き合う山本さんに、その魅力を聞きました。

“絶景”は1つでない、変化やありのままの姿も魅力がある

山本さんは2013年より宿泊者向けの雲海ツアーを行っていて、その際に写真を撮り始めました。大切にしているのは「毎日行くこと」。悪天候や年末年始以外はツアーを行い、夏は朝3時半頃に出発して標高945メートルの津別峠へ、冬は6時前頃に出発して標高525mの美幌峠展望台に向かいます。日の出に立ち会える時間を調整し、色の変化を楽しめるタイミングを狙うのが、山本さんのこだわりです。

屈斜路湖
屈斜路湖

「同じ景色は二度とありません。日の出前後の色の変化、雲の厚さによる光の通し具合、色の付き方は、その日によって全然違っています。『きょうはどんな感じかな?』と思うと、どんなに朝が早くても会いに行きたくなります。だから毎日通えるんです」

屈斜路湖
屈斜路湖

雲海が出るのは曇りの日ですが、「日の出や雲海が見えない日があっても、それはそれでかまいません」と話します。山本さんにとっては変化やありのままの姿も、絶景なのです。また、山本さんは空撮用ドローンを購入し、「空」という角度からも、屈斜路湖の自然を撮り続けています。

屈斜路湖
屈斜路湖

山本さんの夢は、屈斜路湖の写真集を作ること。「人々の営みと原始的な自然が残る屈斜路湖の自然を、これからも毎日撮り続けたい」と語ります。

調理師として、味覚でも確かめた屈斜路湖の自然

山本さんは「調理師」という、もう1つの顔を持っています。大阪で調理師免許を取得後、料亭、寿司店、ホテルの和食職人として経験を積み、1993年に屈斜路原野ユースゲストハウスを開業。原始的な自然が残る場所で、屈斜路湖の湧水で取った一番出汁をベースにし、主に地場産食材を使用した料理を振舞っています。

屈斜路湖
屈斜路湖

「この地区の水は軟水で、料理に合います。また屈斜路湖付近は温泉もあり、農業もさかん。屈斜路湖の魅力は、雲海や大自然だけでなく、住民の暮らしを支えていることなんです」

調理師の味覚でも確かめた、自然の素晴らしさ。山本さんは料理でも「屈斜路湖の自然」を再現し、訪れる人たちを喜ばせています。

屈斜路湖
屈斜路湖

山本さんがカメラの“目”で見て、料理の“味”で確かめた屈斜路湖の自然。ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

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