岡山商科大学(岡山県岡山市)が、新型コロナウイルスの感染拡大で困難な状況にある学生を支援しようと、4月5日から、学生食堂の一部メニューを100円で提供しています。
学生の「経済」と「健康」をサポート
100円で食べられるのは、通常350円のカレーライスにラーメン、通常450円の日替わり定食のあわせて3メニューで、差額は大学が負担します。実施期間は、前期の授業が終わる7月までを予定しています。
コロナ禍で仕送りやアルバイトの収入が減って経済的に困窮すると、切り詰めることになるのが食費。食費を切り詰めることは、食べる物、ひいては健康にも影響してきます。このため、人気メニューのカレーとラーメンに加え、栄養バランスのとれた日替わり定食も100円にすることで、経済と健康の両面で学生を支援しようと始まったのです。
スタートしてから、日替わり定食は用意している60食が連日完売。カレーは1日150食~180食、ラーメンは100食~150食程度売れていて、これはコロナ禍になる前の2019年の平均と比べても、約10倍の数値です。これまで学生食堂を利用していなかった学生の姿も見られ、特に女子学生の割合が増えたといいます。
親が子どもを思う気持ちと同じ
「予想外でしたね。こんなにも(学生が)来ると思っていなかったです」そう話すのは、100円メニューの導入を決めた、井尻昭夫学長です。はじまりは、新年度の学生支援策を考える中での、学長と幹部職員との何気ない会話だったといいます。
「小さい大学なので、皆学生の顔を知っているし、抱えている問題点っていうのも把握しているんですね。それで、昼食代を安くしようじゃないかという話がぽろっと出てきて。150円とか200円だったら敬遠されるだろうから、(思い切って)100円でということで」
とはいえ、実際に価格が下がったわけではなく、差額は大学が負担することに。コロナ禍の厳しい大学経営のなか、それでもやろうと思った理由を尋ねると、
「負担は実際どれくらいになるか分からないですが、何とかなるかと(笑)。コロナはいずれ収まるんだから、いいじゃないかと。いま元気でいてもらえればいいじゃないかという、極めて計算のない取り組みです」。
100円メニューをスタートさせて以降、想定を超えるペースで学生が訪れていますが、他の予算や経費を切り詰めてでも、なんとか継続させることを考えているそうです。
「親が子どもを思うのと同じですね。それが強かった。(費用は)捻出できるでしょ。事務局も先生方も分かってくれてるしね。目先のことをとやかく言うよりも、来てくれる学生を大切に、元気でいてもらって。小さい大学だからできるんですよね」
岡山商科大学では、増えた学生が食堂で密にならないよう、多目的ルームを新たに食事スペースとして開放したり、ピーク時は職員が誘導(入場制限)を行ったりするなど、感染防止対策にも配慮しているということです。