詐欺の被害を未然に防いだとして、中国銀行倉敷駅前支店(岡山県倉敷市)と、職員の湯月寛子さんに表彰状が贈られました。
海外送金の相談、あいまいな返答
海外送金の窓口業務を担当する湯月さんは、4月1日、倉敷市の70歳代の女性から海外送金について電話で相談を受けました。女性は焦った様子で、外国人にお金を送る方法について尋ねてきたといいます。
銀行では海外送金を受けつける際、事前に目的や資料などを確認して妥当性を判断することになっています。このため湯月さんも理由を尋ねましたが、女性からはあいまいな返答が続きました。
「おかしいと思ったので、とにかく電話を切らせないようにということで一生懸命でした」
詳しく話を聞いていくと、金塊の輸送料名目で、SNSで知り合った外国の知人へ約60万円を送金しようとしていることが分かり、女性が詐欺の被害にあっている可能性があると判断。湯月さんから報告を受けた上司が警察に通報し、警察が女性を説得したことで、被害を未然に防ぐことができたのです。
客は100%信じているなかでの対応
「お客様は100%信じている状況でのやりとりですので、非常に根気がいったんではないかと思うんですけど、それを落ち着いて対応してくれたということは、本当に嬉しく思っています」河内支店長は、湯月さんをこう評価します。
「他の支店で『詐欺です』と説得したけれど、(客に)強硬に拒まれたというような事例が共有されていました。このため、情報をまとめて上司に伝えるまでは、とにかくこちらから『詐欺ではないですか?』とは言わないように心がけていました」
今回電話をしてきた女性も、警察が説明をするまで、ずっと外国人のことを信じていたそうです。客観的に聞けば気づくような内容でも、まさか自分が騙されているとは思わないのが、詐欺の怖いところ。
「自分は騙されないと思われている方がほとんどだと思うんですが、誰にだって被害にあう可能性があると思っていてほしいですし、何かあれば金融機関なり、どこかの窓口に相談していただきたいです」湯月さんは、力強く話してくれました。